先客が帰ると、
酒場修行中の先生曰く、いま楽しく読んでいる本の中には　・　・　・　、

バーでは、「　長居するな　」、「　隣りのお客の言葉（オーダー含む）に反応するな　」、
「　寝るな　」、などなど有難い言葉が溢れているという。

しかし、
酒場修行中の先生、「　私にはそれの、どれも出来ていな～い　」とのたまう。

その夜も二杯で切上げていれば良かったものの、三杯目のギムレットが
半分程になってくると始まった。







「　アンプレアブル　」、が　・　・　・　。











  

Landy Désir ランディ・デジール。

コニャック・フェラン社は、コニャック地区で最も古い歴史を持つワイナリー
Ferrand と1776年より続くグラン・シャンパーニュの中心地に100haの畑を
持つ蒸留所 Logis d'Angneac と協力し、1989年に Alexandre Gabriel に
よって設立された。

近年ではアメリカ国内で高い評価を受けており、数多くの賞を受賞している。

女性のボディを模ったボトルにタイトなドレスと真っ赤なキラーハット。
エレガントなバニラの香りにシトラスやプルーンの風味。
そしてやわらかいフィニッシュ。



デジール、欲望という名を冠せられたコニャックは、視覚と味覚の両方で
楽しませてくれる。



このボトルラインを見たときに、あの男のために購入しなければならないと
思った。




本日は、定休日でございます。
またの、ご来店をお待ちいたしております。
Bar　Le　Rentier



  

「　よかったねぇ、もらってくれる人がいて　」
「　溝に捨てられなくてよかったねぇ　・　・　・　」。


ハサミで
収穫するたびに葡萄に話しかけている年配の農家さんのつぶやきである。

ある夜、ワイナリーから破棄されるところだった完熟葡萄が届けられた。
それは、南アルプス鮎沢地区のマスカットベリーA。



マスカットベリーAは、
川上善兵衛翁が1927年に、アメリカ葡萄のラブルスカ種ベリーと
ヨーロッパ葡萄のヴィニフェラ種マスカット・ハンブルグを交配して
作った日本生まれの黒葡萄である。
ワイン用と生食用の両方に使われ、日本が誇る「　甲州　」と並び、
日本の赤ワイン用として唯一ワイン国際品種に認定されている。

今回のベリーAは、南アルプスで最も遅採りの完熟葡萄だという。

オリオン座流星群が観られるかもな旧重陽の深夜。
天空の赤ワイン、ラピュータ Laputa になる前のベリーAを
皮付きのまま絞り、カシスとともにシェークしてグラスに注ぐ。



確か、このカクテルはプラトン Platon という名前が BAR RADIO の
尾崎氏から付けられていたはずである。



それにしても完熟葡萄　・　・　・　、甘露である。





  

―――10月、神無月。

特別な友に、生涯の友に、唯一の友に贈るカクテル。
そんな思いで創作されたカクテルがある。　

―――ゴールデン・フレンド。

今月、6日の夜の営業から頻繁につくっている。
1982年、第2回アマレット・ディサローノ国際コンペティションで
入賞した作品である。

作者は、札幌 Bar PROOF の中河宏昭氏。
あのススキノの名店、バーやまざきの筆頭門下生である。



「ゴールデン・フレンド」というカクテルは中河氏と親交があった旧友Ｉが
レシピを伝授され、1989年頃に千葉のプールバー時代に伝えられた。
コーラ好きのお客様には幾度となく、つくってきたカクテルだ。

―――10月、神無月。
今月から、ゴールデン・フレンドは祈りのカクテルとなった。
何杯つくっても、何杯つくっても、つくり足りない。



◆Golden Friend
・アマレット　　　　　20ml
・ダーク・ラム　 　　20ml
・レモン・ジュース　20ml
・コカ・コーラ　　　　適量
　＊アマレット、ダーク・ラム、レモン・ジュースをシェークし、氷を入れたタンブラーに注ぎ、
　よく冷やしたコーラでグラスを満たして軽くステアする。




出会って30余年、
ゴールデン・フレンドを自分に教えた旧友は、今やプラチナ・フレンドである。





  

チョイと前に放送されていた金曜ロードショー、ジブリ祭り。

「　ハウルの動く城　」を観た。

誓いと契約に
縛られた魔法使いと、長女という立場に自分を縛りつけていた少女。
地面を
這いつくばっていた城と二人は不自由から解放されて、宙を飛んで行った。



心を取り戻したハウルと、自分を取り戻したソフィーの冒険はこれからも続く。



―――だから、人生は捨てたモンじゃない。





本日は、定休日でございます。
またのご来店をお待ち致しております。

Bar　Le　Rentier








  

爆弾低気圧が去った午後、サボリ気味で鈍った身体を引きずるように
ひとっ走りする。

10分ほどで汗が噴き出してくる。
部活でランニング中の中学生にスカスカ追い抜かれ、見上げると



いわし雲？



鯖雲？
うろこ雲？　

見渡すかぎり、そんな秋の空　・　・　・　が広がっていた。



いわし雲人はどこでも土平（なら）す　　　　　　　　西東三鬼