真昼の月

真実って一つだけじゃないんだよね。
人は信じたいものだけを信じて、見たいものだけを見る。
別の何かがあるなんて思いもしない。

ところが、思いもよらないことが、ある日ふいに姿を現す。
昼間に
偶然見つけた月のように、でもそれはずっとそこにあったのだ。
ただ気づかなかっただけで・・・。

店内のBGMが消えて二週間経つ。
聞こえるのは話し声と冷蔵庫のモーター音とグラスの中で鳴る氷の音・・・。
そんな静謐な時間に気づけるのはふとした瞬間だけである。

支えてくれる全ての人に感謝する７月、　―――気づけば九回目の夏を迎える。