2009年05月27日
葡萄酒
二階までの階段を、どれだけの時間を掛けて上ってきたのだろうか。
その杖をついた老人はカウンター中央の丁度空いていた席にゆっくりと腰掛けた。
湯気の立つおしぼりを受け取りながら
「 葡萄酒 ・ ・ ・ 」
と、低い声でひと言だけ呟くと店内は一瞬にして、それまでと違う空気に包まれた。
静かに流れるサティのジムノペディ第1番が重苦しい。
ぶどうしゅ ・ ・ ・???
バーテンダーは、悩みに悩んだ末に深く紅い色の液体をグラスに注いだ。
「 それは何? 」という先客の視線がバーテンダーの手元に突き刺さる。
やがて老人は頷きながら、皺の無い紙幣を一枚カウンターに残して
静かに帰っていった。
老人の発した言葉は「 葡萄酒 」だけだった。
その杖をついた老人はカウンター中央の丁度空いていた席にゆっくりと腰掛けた。
湯気の立つおしぼりを受け取りながら
「 葡萄酒 ・ ・ ・ 」
と、低い声でひと言だけ呟くと店内は一瞬にして、それまでと違う空気に包まれた。
静かに流れるサティのジムノペディ第1番が重苦しい。
ぶどうしゅ ・ ・ ・???
バーテンダーは、悩みに悩んだ末に深く紅い色の液体をグラスに注いだ。
「 それは何? 」という先客の視線がバーテンダーの手元に突き刺さる。
やがて老人は頷きながら、皺の無い紙幣を一枚カウンターに残して
静かに帰っていった。
老人の発した言葉は「 葡萄酒 」だけだった。
Posted by Le Rentier at 03:01│Comments(0)
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