2016年09月29日

September Morn

雨、雨、雨、ま~た雨が降る。
9月は残暑が落ち着いたと思ったらば、なんだか雨ばかりである。
爽やかなセプテンバーはどこ行った?



―――セプテンバー・モーン September Morn。

美術好きでなくても画名は知らずとも、見たことがあるであろう
「9月の朝」、湖で沐浴する少女を描いたそうで・・・、それは
それは、透き通るような美しさである。



今から100年以上前に描かれた。

フランスのポール・マイル・シャバ Paul Émile Chabas(1869 - 1937)と
いう人の代表作といっていい。

「Matinée de Septembre(September Morn)」。

これを、19世紀のアメリカでは卑猥で猥褻で悪徳だと扱われた。
そう当時は天下の悪法、禁酒法が施行されようとしていた時代。


このカクテルもそんな時代に作られたのだろうか、クラシック・カクテルを一つ。
セプテンバー・モーン・カクテル。



ラムをベースにライムと柘榴を卵白が包み込む、爽やかな9月の朝、
9月の朝焼けが見事にグラスの中に表現された一杯。

この手のカクテル(ピンク・レディとかミリオン・ダラーとか)のコツ。

ほとんどのカクテルブックに記載されている卵白1個っていうアレ・・・、 
アリャあ、ペケペケ・・・、駄目だな。
卵白1個分ってのは多過ぎで、半分強位+グレナデンシロップを逆に多めにし、
甘いかもって位が丁度イイのである。
そして、これでもかというほどに草臥れるまで、ハード・シェークすべし。




ジメジメとした9月も終わり、今週末はもう10月。
ホントにあっという間である。

少年の一日は短く、一年は長い。
老人の一日は長く、一年は短い。

Art is long, life is short. 芸術は長く、人生は短い。
             ―――ヒポクラテス(Hippocrates, Circa 460-370 BC)


そう、人生は短いのだ。
学ぶべきことをどんどん学んで、やりたいことを思い切り楽しまなければ勿体ない。

Art is long, life is short. 




◆セプテンバー・モーン September Morn
 ホワイトラム     
 ライムジュース   
 グレナディンシロップ
 卵白
 *ハードシェークしてシャンパングラスへそそぐ。
  


Posted by Le Rentier   at 03:39Comments(0)◆COCKTAIL

2016年09月26日

ぶっせん



―――日曜の深夜に、
芋焼酎「金とき國生」を啜りながらYAWARA!、Happy!、パイナップルARMY、
MASTERキートン、20世紀少年などで知られる「浦沢直樹の漫勉」再放送を
何気なく、何気な~く観てしまった。

何気な~く観てしまったのは三宅乱丈氏の回。
ドラマ化された「ぶっせん」の作者だ。



ぶっせんは読んでいないので早速物色してきた。
和尚が最高!


  
タグ :三宅乱丈


Posted by Le Rentier   at 14:17Comments(0)漫 画

2016年09月23日

神様はバリにいる

テレマカシィ!

秋分の日。
台風16号の置き土産であろうか、秋雨がシトシトと湿らせ雨脚が
墓参りを躊躇させる午後、暇つぶしに鑑賞したのは ・ ・ ・ 、

「 神様はバリにいる/2015公開 」 



ヒロインのテルちゃんを追っかける人生に血迷ったストーカー、杉田役の
ナオト・インティライミのチャラさが好き。

神々の島、バリを舞台にした、この映画はフィクションだけど実は、ストーリーは
ほぼ実話をベースにしたバリの爽やかな風が吹き抜ける物語。

バッタもんはバッタもんや。
ホンマモンはホンマモンや。
ホンマモンを目指そうや!!

テレマカシィ!
ナシゴレン!
ビンタンビア!



  


Posted by Le Rentier   at 04:10Comments(2)映 画

2016年09月19日

カクテル・ウェイトレス

―――カクテル・ウェイトレス。


【カクテル・ウェイトレス/ジェームズ・M・ケイン著 田口俊樹訳/新潮文庫 】

初老の富豪に見初められた、うら若き未亡人が主人公。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のジェームズ・M・ケインの幻の遺作。

この女は、そこまでワルなのか―――。



敬老の日、
本日は祝日ですが通常通り営業致しております。

Bar le rentier  


Posted by Le Rentier   at 16:51Comments(0)◆乱読観聴備忘録活字中毒

2016年09月17日

名月と一礼

秋の日はつるべ落としで、夕方六時ともなれば日はとっぷりと
沈んでしまう。

出勤前の所用で、蜆塚から広沢を通り抜けようとして市立高校の
前で渋滞しだした。

車は遅々と進まず、ぼんやりしているとフロントガラス越しに見事な
月が浮かんでいた。



昨夜が十五夜、今夜は十六夜(いざよい)だという。

ふと、市立高校を見やると下校する生徒たちが、あの伝統の
校門一礼をしている。
月明りに照らされての、校門一礼の風景。
オッサンの目には神々しく映った景色も、生徒たちにとっては特別な
ことではなく、ずっと変わらない毎日のこと、当たり前のことでしかない。

いかに、当たり前のことを当たり前にするか。
遅刻をしない、嘘をつかない、約束は守るといった当たり前は目立たない。
が、積み重なれば目立つもの。
人と一番差がつくのは、こういう「 当たり前の力 」であろう。

十五夜も、十六夜も、校門一礼も当たり前。

もちろん、バーも当たり前がよろしい。





  

2016年09月16日

夏がいく

―――綺麗な指してたんだね 知らなかったよ
となりにいつもいたなんて 信じられないのさ~♪

FMラジオから「何も言えなくて・・・夏(1991年/JAYWALK)」
が流れてきた。
あぁ、あっという間に夏が暮れていく・・・。



でも、半袖を仕舞えない。
出した肩が、仕舞えない。

Tシャツ短パンビーサンで過ごす午後。

庭先の百日紅から地面に落ちて、ずっと其処にあったであろう
蝉の脱け殻を踏んづけた。
去りゆく夏と訪れ来る秋。

今夜は十五夜、綺麗だねぇ。



  

Posted by Le Rentier   at 02:23Comments(0)◆歳時記と花鳥風月音 楽植中毒

2016年09月14日

風吹不動天辺月



―――白露。

朝夕の吹く風に秋の匂いと色と音を感じる。
菩提寺で枯れた香の花を処分したおりに、本堂で見事な円相を見つけた。



草に降りた露が白く光って見える姿、白露のような円相だ。

風吹不動天辺月(風吹けども動ぜずてっぺんの月)。【普燈録】

ここでの風は、自らの喜怒哀楽、煩悩なのだと捉えなくては面白くない。
秋の清涼の月は、それでも変わらず耀く仏性、真如の心である。
どんなに惨めで酷い状況でも、その確信が立ち直る力になる。








友が49歳で逝って七日が過ぎた。
今夜は、円相なモルトウイスキー、相円(そうえん)を飲りたい。



  
タグ :円相白露


Posted by Le Rentier   at 17:18Comments(0)◆WHISKY◆独り言・・・雑感

2016年09月08日

壊された王様

いわゆるカクテルの王様、マティーニ
アメリカで流行した当時は、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルや
サンフランシスコのパレス・ホテルぐらいでしか見かけないエレガントなカクテル
だったという。

第一次世界大戦でG1とともにヨーロッパへ渡り、ジンとドライ・ベルモットの
割合が2対1になり、聖典ザ・サボイ・カクテル・ブックの1965年大改訂版では



ドライ・マティーニは5対1、エクストラ・ドライ・マティーニは6対1と記載される
こととなる。

以来、縦横無尽、千変万化のマティーニは今や10,000種類を越えると
いわれ百花繚乱なのである。



ある夜、そんな百花繚乱のマティーニのなかから、
「オモロイ、マティーニが飲みたい!」と、酒徒がいう・・・。
オモロイって?????  美味いマティーニならば、何とかなるカモだが、
「オモロイ・・・」は難しい。

オモロイ男が求める、オモロイというマティーニとは・・・、
バーテンダーは逡巡し、やおらフリーザーから四角く凍らせたモノを取り出す。
冷やしたカクテルグラスにそれを2個放り込み、凍ったドライジンを注いだ。



ミキシンググラスも、ステアも必要のないマティーニの完成である。
それは、ピカソ・マティーニThe Picasso Martini(コリン・ピーター・フィールド作)。



20世紀最大の芸術家で美術史上最も稼いだ画家パブロ・ピカソ。
多作の天才は、油絵、版画、挿絵、彫刻、陶器など、じつに147800点の
膨大な作品を残した。

【ピカソ・キュビスム1907‐1917/平凡社】

キュービズムとは、何かを削ることによってその本質に迫ろうという表現法。
それは、モチーフを機械的に壊していく手法である。
カクテルグラスの中でキューブ状のノイリー・プラットが壊れていく景色。
これが、壊されたマティーニの由縁であろう。

ピカソの遺産の評価額は、日本円にして約7500億円だったという。
美術史上、ピカソほど生前に経済的成功をおさめた画家、つまりは
「儲けた」画家はいないということになる。

これからも儲けるであろうオモロイ男の未来に、ピカソ・マティーニ。



巨人は言った・・・、
「明日描く絵が一番すばらしい」。    



◆ピカソ・マティーニThe Picasso Martini(バー・ヘミングウェイ リッツ・パリ)
 -18,4℃のジン8/10
 ノイリー・プラットの角氷1個
 *ジンをカクテルグラスに注ぎノイリーの角氷をグラスに落とす。作者はコリン・ピーター・フィールド。




  


Posted by Le Rentier   at 04:13Comments(2)◆COCKTAIL