世間は三連休。
その静かな一夜に連休の匂いを漂わせた先輩と後輩らしき二人連れ。


ドライマティーニをキュっと飲み干して一呼吸ついてからのお代わりは。
「オールド・パル」であった。



若い彼からの、こんな古いカクテルのリクエストがバーテンダーは
嬉しいのである。


―――オールド・パル。

20世紀の初頭、ニューヨークで誕生したらしい・・・。

当時のニューヨークは、赤いカンパリのごとく血の結束を誇る
イタリー系マフィアがのしてきた時代。
赤い血のようなイタリー産のカンパリが使われた、オールド・パルの
時代背景が伺われる。


さて、古くからの友人、昔からの仲間という名前のカクテルは
ライウイスキーとドライ・ベルモット、カンパリをほぼ同量ずつステアし、
カクテル・グラスへ。

ほろ苦く、ほんのりと甘い、どこか都会の哀愁を感じさせるのである。


フリーザーから取り出したカナディアンクラブ。
アメリカの禁酒法に乗じて名の売れたCCを今夜はベースに仕上げた。